私がスウェーデンで留学中、イエテボリ大学の歯周病学科研究員で、歯周病専門医でもあるオリビエール・カルキュアック先生と出会い、いろいろと臨床における熱い思いを話しあいました。その時、彼が開発していたiMucoと出会いは私に大きな衝撃をあたえました。日本においてもタブレットを利用しての学習は様々な場面で見られるようになってきておりますが、当初それは鮮烈で新しく、強烈なインパクトを私に残しました。そのため、彼と共同で日本語版を作ることを決意したのです。

　このiPad専用アプリケーションは、歯周病を学ぶ先生なら一度は体験しても損がないと断言できます。まだ根面被覆術をされたことのない先生なら尚更ですが、多くの先生が本や文献を読んでも勘所がまったく分からず、結局失敗を恐れて意外と行わない手術であると思われるからです。

　ビデオを見て頂ければ分かると思うのですが、このアプリケーションの大きな特徴は分厚い教科書を熟読するよりも、視覚的、直感的に複雑な術式を理解できることであります。そして様々な質問に答えていくと（角化歯肉の残存量、幅、バイオタイプ、単/複数歯等）、エビデンスを元に最適と考えられる術式がガイダンスされていき、最終的にガイドされた手術における切開、剥離のわかりやすい説明、高画質の動画、写真などにより、容易に術式を理解することができます。またiPadという媒体を利用していることも見逃せないポイントで、これにより手軽にどこででも学習することが出来るだけでなく、患者さんへの説明、さらに大学における歯科学生に対する教育にも大いに活躍することでしょう。