皆さまがご存知の言葉“虫歯”これは一体何なのでしょうか?
皆さまの頭では虫歯菌がドリルをもって直接穴をあけているようなイメージがあるのではないでしょうか?
現実的には細菌からつくられた酸により、歯が溶かされていくという流れです。 科学的には“脱灰と再石灰化のアンバランス”であると定義されています。 酸による脱灰のほうが再石灰化の力より勝ると、歯が酸により溶かされ、結果として穴ができるということです。
(図1)
| |
虫歯の穴は病気のプロセスのなかでの結果であり、出来た穴を削って詰めることは実は病気を治しているわけではないのですね。
なぜならその悪いサイクルを正さなければまた穴があいてくる。すなわち病気は治っていないわけです。
ここで大切なことは口のなかの環境が虫歯になりにくい、再石灰化が起こりやすい環境に整えることが本当の治療ということになります。つまり(図1)にあるような初期虫歯は削らずに進行を防ぐことが可能なわけです。不幸にも深く進行してしまった虫歯(原則C2以上)は修復治療(詰め物や被せ物による治療)や根管治療(根の治療)が必要になります。 |
ここでお気づきの方もおられるかもしれませんが、虫歯というのは単に甘いものを多く食べるからとか、歯磨きがおろそかになっているからといった単純なものではありません。確かにプラークコントロール(歯ブラシによる歯垢除去)は大切ですし、甘いもの(特にショ糖含有物)は虫歯のリスク要因になります。しかし、他にも虫歯になるには多くの因子があり、それらを患者さんは知っておく必要があります。